はじめに
開幕戦では、プレシーズンで良いパフォーマンスを見せていたラヴィア、守備強度が高くビルドアップにも長けたカイセドが2ボランチとして起用されました。
一方エンソ・フェルナンデスは、本職のボランチではなく一列前のトップ下を任されました。
しかし結論から言うと、彼はトップ下ではなくインサイドハーフ、ボランチで使いたい選手と言えるでしょう。
彼のプレースタイルとチーム戦術をもとに、順を追って見ていきます。
プロフィール
エンソ・フェルナンデスのプレースタイル
運動量豊富なゲームメイカー
非常に運動量が多く、ピッチ全体でボールサイドに顔を出し組み立てに参加します。キープ力があり、低い位置でプレスを受けても慌てません。パスだけでなくドリブルで相手をはがして持ち運ぶことができます。
また、ミドルレンジのパスを得意としており、鋭い縦パスやスルーパス、サイドチェンジなど1本で展開を変えることができます。
度々ミドルシュートを狙うシーンもありますが、決定力はやや課題です。
タイトでハードな対人守備
ボールホルダーに対して常に圧力をかけ、時にはキーパーまでプレスを行うシーンも見られます。ハードな守備ゆえにファールやイエローカードをもらうシーンも多いですが、相手を止めるという意識の高さがうかがえます。
ボールに食いつきすぎてかわされ、一気に置き去りにされるシーンがあり、そこは課題といえます。
適正ポジションはどこ
10番としての起用
4ー2ー3ー1
開幕マンチェスターシティ戦での布陣です。
ボランチのラヴィアとカイセドを中心に、パーマーやエンクンクが落ちたり、コルウィルとフォファナを経由したりと、柔軟なビルドアップが見られました。
それを踏まえると、エンソはゴールに近いエリアでの働きが求められましたが、少々物足りなく映りました。エンクンク、パーマーが足元でパスを受けるため、スペースへのランニングや、前線を追い越してボックスに飛び込むシーンが増えるとバランスが良くなると思います。
とはいえ、それはエンソの持ち味とかみ合っていないように見えます。
インサイドハーフとしての起用
4-3-3
個人的に最もバランスが良いと考えているフォーメーションです。中盤3枚が運動量を生かして流動的に動くことで、効果的なビルドアップを行います。攻撃は前線3枚を後ろからエンソがサポートします。
また、フェリックス(エンクンク)等の守備強度に難がある選手にとっても負担は軽めです。
3-2-5
これは4-2-3-1からの変形で、偽サイドバック時にエンソが前に出るパターンです。
マレスカ監督は偽サイドバックを非常に好むので、いずれ多用していくと思われます。
純粋な2ボランチではラヴィア&カイセドの序列が勝っている感もありますが、保持時にインサイドハーフとして一列上がる役割はエンソに合いそうです。
ただし、上手く整理しないと前線が渋滞するおそれがあります。
ポチェッティーノ体制では、エンソ&カイセド、エンソ&ギャラガーの組み合わせではどちらもエンソがポジション高めでした。
ボランチとしての起用
4-2-3-1
昨シーズンでよく使われたのはこのエンソ&カイセドの2ボランチでした。この場合エンソを中心に組み立てます。
ただこの場合エンソ、カイセド、ラヴィアから一人外れることになります。大金を費やしたエンソ、カイセドは外しにくいと考えると、ラヴィアがローテーション要員になってしまいそうです。
3-2-5
最後に、偽サイドバック時にエンソをボランチに残した形です。その場合に一列あがるボランチとして適当な選手が見当たらないように感じます。カイセドもボールプレイは上手い選手ですが、ポジションが高すぎると良さを発揮しにくいでしょう。
結論
総合的に見て、エンソの10番起用は優先度が低いように思えます。
エンソをボランチにおいた4-2-3-1にすることで3ー2ー5の偽サイドバックへの変形も柔軟に行いやすくなるでしょう。
またエンソ、カイセド、ラヴィアを同時起用するなら3センターで、カイセド、ラヴィアの2ボランチなら偽サイドバックにしないなど、選手のキャラクターによって陣形を選択する必要がありそうです。
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